「もけら もけら」の情報
「もけら もけら」
文:山下洋輔
絵:元永定正
構成:中辻悦子
出版社:福音館書店
発行日:1990年11月30日
おすすめ年齢:
読んであげるなら2歳から
自分で読むなら小学校低学年から
サイズ:H25×W24㎝
ページ数:32ページ
「もけら もけら」はこんな子におすすめ
・感覚的に楽しむことが得意、好きな子に
・オノマトペが出てくる絵本を好む子に
「もけら もけら」の簡単なあらすじ
ことばや絵でのはっきりとした筋書きは無く、オノマトペと抽象画で構成された絵本です。
ことばの響きの面白さと、抽象的な絵の動きが楽しい作品。
「もけら もけら」のレビュー
こんなに前衛的な絵本があるなんて!
衝撃的な絵本が存在しています。
今回ご紹介する、「もけら もけら」という絵本です。
文を書いたのは、ジャズ・ピアニストの山下洋輔さん、絵を描くのは、前衛美術作家の元永定正さん。
ジャズ・ピアニストと前衛美術作家…この組み合わせを聞くだけで、なんだかすごいものが出来上がるような気がしませんか?
初めて見たときは、本当に衝撃でした。でも、私も音楽家の端くれ。音楽家の感性を感じられる驚きの絵本です。
あなたは、この絵本に何を感じるでしょうか…。
「もけら もけら」を読んでみると、今までの絵本のイメージが覆されます!
そんな、他とは違う衝撃的な絵本なのです。
何も考えずに、「もけら もけら」を楽しもう!
「もけら もけら」を楽しむ方法、それは自由ですが、やってはいけないことがあります。
それは、頭の中で理屈を考えてしまうこと!
この前衛的な作品に、理屈なんてものは存在していません。頭で考えずに、心や体全体で感じてみましょう。
この、“頭で考えない”って、大人は苦手なんですよね。でも、子どもたちは大得意だし、大好きです!
「もけら もけら」は、何も考えずに自由に自然に楽しんでみましょう。
不思議で愉快な「もけら もけら」
「もけら もけら」は、抽象画とオノマトペの組み合わせによって構成された絵本です。
オノマトペって何?という人は、こちらの記事を読んでもらえればと思います!
「もけら もけら」を見てみましょう。表紙に描かれているのは…生き物?
いえ、受け取り手次第ですね。本当に生き物なのかもわかりません。私には、不思議な生き物のように見えます。
この不思議な生き物?たちは、ページをめくるたびに伸びたり縮んだり、形を変えたり…。カラフルな色使いを見ていると、わくわくしてくるような、不思議な魅力が存在します。
あなたにも見える?聞こえる?「もけら もけら」のリズム
「もけら もけら」は、他の絵本と比べて受け取り手の感じ方が様々な絵本です。
どんな解釈をするのか、それともしないのか、何を感じるのか、想像するのか、全てが自由な絵本です。
ただひとつ言えるのは、何かのリズムがあるということ。
全てのページに共通して、描かれている抽象画が並んでいます。ことばは、口に出すと自然とリズムが生まれてきます。
読んでいるひと皆が何らかのリズムを感じる絵本。でも、そのリズムは千差万別、ひとりとして同じものは無い絵本。
「もけら もけら」は、絵のリズムやことばの音で遊びつくす絵本なのです!
強いインパクトでエネルギー解放!
抽象画とオノマトペの組み合わせが楽しい絵本は、他にも存在します。有名な絵本は、「もこ もこもこ」ですね。絵を描いているのは同じ元永定正さんです。
でも、「もけら もけら」は他の抽象画絵本に比べて、インパクト大!
どうしてこんなにもインパクトがあるのでしょうか?
それは、ページをめくるたびに使用している色や絵柄が、ガラッといきなり大きく変化するからです。
また、使用することばの音の組み合わせも、口にするのも耳で聞くのもエネルギーが必要で、インパクト強め!
そして絵は落ち着いている画面でも、ことばの衝撃は強め!
さらに絵が小さく描かれていても、色の組み合わせが強め!
このコントラストも、「もけら もけら」の印象を強めている一因です。
この「もけら もけら」の強いインパクトは、子どもたちの内に秘めたエネルギーを開放させてあげるものであると感じます。
「もけら もけら」は、“表現”という、ひとつの“遊び”なのです。
「もけら もけら」は一冊だけで美術館級!?絵本全体がアートです。
「もけら もけら」を読んでいて感じるのは、絵本全体がひとつのアート作品だ、ということです。
抽象的な絵はもちろん、文字の大きさ、その配置まで全て合わせてアートです。
一冊読むだけで、美術館に行ってきたかのような達成感や充実感、開放感を感じさせてくれる、徹底した素敵なアート作品です。
「もけら もけら」は、絵本を閉じても終わりません。裏表紙は絵本の続き。そして、絵本は終わらずに続いていくのです。
絵本に抱く常識を覆す、衝撃の作品、「もけら もけら」!
読んだことの無い人は是非!あなたの常識を変えてみてくださいね。
「もけら もけら」の読み聞かせのポイント
・感じ方は、人それぞれです。決まった読み方は存在しないので、自由に読み聞かせてあげましょう。
・毎回同じ読み方をする必要はありません。そのときの感覚で自由に読みましょう。
・日常生活で、意味の存在しないことばを口にして遊んでみましょう。
作者の他の作品
元永定正さんの作品
「ころ ころ ころ」
作:元永定正
出版社:福音館書店
おすすめ年齢:
2歳から4歳向きと記載がありますが、
0歳や1歳頃から充分に楽しむことができる絵本です。
・オノマトペ(擬音語等)が出てくる絵本を楽しむ子に
・色とりどりの絵を眺めるのが好きな子に