「もりのなか」の情報
「もりのなか」
文・絵:マリー・ホール・エッツ
訳:まさき るりこ
出版社:福音館書店
発行日:1963年12月
おすすめ年齢:
読んであげるなら2歳から
自分で読むなら小学校初級向き
サイズ:H19×W26㎝
ページ数:40ページ
「もりのなか」はこんな子におすすめ
・不思議なことが大好きで、ファンタジー作品を楽しむ子に
・動物がたくさん出てくる絵本を喜ぶ子に
・お父さんの読み聞かせにもおすすめ
「もりのなか」の簡単なあらすじ
ぼくは、紙の帽子と新しいらっぱと共に森へ散歩へ出かけます。
もりのなかには、動物がいっぱい!
動物たちは、ぼくの姿を見ると、みんなぼくについてきます。
「もりのなか」のレビュー
「もりのなか」では、何か素敵なことがはじまる予感。
都会に住んでいると、なかなか森に出かけることってありません。でもたまに行ってみると、空気がひんやりとしてなんだかいい香りもして、落ち着いた気持ちになれるんですよね。
あの木の陰から、何かが出てくるかもしれない。もしかしたら、葉っぱの隙間から誰かがこっちを見ているのかもしれない。森にはそんなことを予感させる不思議な力があります。
だから数多くのファンタジー作品で、森が舞台として選ばれているのでしょうね。
今回ご紹介する絵本もそのうちのひとつ。タイトルは「もりのなか」です。
モノクロ絵本で、広がっていく想像力。
「もりのなか」は、白と黒で構成された、版画のような雰囲気の絵が魅力的な名作です。
白黒であることで、子どもたちは自分で動物たちの色を想像しながら楽しむことができます。
また、絵と絵の描かれていない部分がはっきりと分かれていないことで、描かれていない部分への想像する余白も残されています。
華やかではないですが、不思議な世界観がじっくりと感じられる絵本です。
「もりのなか」のファンタジーに吸い込まれていく。
男の子がもりのなかへお散歩に出かけるという、子どもにもわかりやすい物語の冒頭ですね。
ひとつずつ、ページをめくるごとにどんどんファンタジーに吸い込まれていきます。
もりのなかでは、様々な動物が現れます。そして、みんなぼくの散歩について行列をなしていくのです。
動物を見つけたときは、皆それぞれの動物らしい行動をしているのに、ぼくとかかわりを持ち始めた瞬間から、大きく変化します。
まるで人間みたいに2本足で立ち上がり、髪をとかしたりおめかしをしたり動き始めるのがファンタジー!
「もりのなか」のとっても面白いところです。
世界を壊さず、帰ってくる場所であり続ける、お父さんの役割。
動物たちと楽しく遊んでいましたが、かくれんぼうでぼくが鬼になったとき、見つけたのはお父さんでした。どうやら夢のような時間は終わりを迎えたようです。
お父さんは、男の子の楽しかった世界を壊さないように、「みんなまっててくれるよ」と声をかけてくれます。
こうやって子どもの心を受け止めることのできるお父さんってとっても素敵!子育てをするうえで見習いたいお父さんです。
そしてお父さんと一緒に帰る男の子、ちゃんと元の世界に帰ってこられるファンタジーは、子どもにとって安心して楽しめる絵本のポイントです。
お父さんも立派に活躍する絵本なので、父親が読み聞かせをするのにもおすすめの絵本ですよ♪
・元の世界に帰って来れるので、安心して楽しめるファンタジー。
あなたは「もりのなか」に、何を感じますか?
「もりのなか」は、読む人によってさまざまな考えを持てる絵本です。
もりのなかで出会った動物は、本当に男の子と一緒にいたのかな?うさぎだけ他の動物とは少し違う雰囲気を感じるけれど、一体どうしてかな?
少しだけ長いお話も楽しめるようになった子におすすめのファンタジー作品です♪
「もりのなか」の読み聞かせのポイント
・穏やかな世界観をたっぷりと感じながら読み聞かせてみましょう。
・大人の解釈は押し付けずに、子どもが自分で考えて楽しめるように援助してあげましょう。
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文・絵:マリー・ホール・エッツ
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・動物が沢山出てくる絵本を好む子に
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