「きもち」の紹介
「きもち」
文:谷川俊太郎
絵:長新太
出版社:福音館書店
発行日:2008年2月15日
おすすめ年齢:
読んであげるなら4歳から
自分で読むなら小学校初級向き
サイズ:H24×W22㎝
ページ数:28ページ
「きもち」はこんな子におすすめ
・自分のきもちを大切にできるようになってもらいたい子に
・人のきもちを思いやれるようになってもらいたい子に
「きもち」の簡単なあらすじ
遊んでいたおもちゃを取り上げられたとき、
猫が捨てられているのを見つけたとき、
予防接種を受けるとき、
お母さんが悲しんでいるのを見たとき…。
君はどんなきもちになるかな? あの子はどんなきもちかな?
きもちについて考えてみよう。
「きもち」のレビュー
絵本界の天才が紡ぐ、描く。「きもち」ってどんなもの?
大人になってもよくわからないもの。だけど大切にしなくてはならないもの。
それは、「きもち」です。
他の人のきもちを理解するって、とっても難しい。それどころか、自分のきもちも本当はよく分かっていないのかもしれない。
そんな「きもち」と共に、人は生涯を生きていくのです。
テーマとして扱うのが難しい「きもち」を扱ったこの絵本。
お二方とも絵本界の天才と呼んでも過言ではない、谷川俊太郎と長新太さんが手がけた作品です。
タイトルはシンプル!「きもち」です。この絵本は、一体どのように「きもち」を伝えているのでしょうか。
前半、文字は無いのに感じる「きもち」の物語
この絵本は、前半はずっと絵だけ描かれていて、文字はありません。
後半にやっと文章が登場します。でも多くを語っているわけではありません。
そんなシンプルな構造で「きもち」は構成されています。
前半、文章は書いてないのに、そこには物語があります。一人の男の子を中心に、様々な出来事が起きていきます。
その出来事によって、男の子のきもちも、周りの人のきもちも、くるくると移り変わっていきます。
長新太さんの描く人物は、とても表情豊かです。
いじわるをする顔、
思うようにいかなくて悲しい顔、
おもちゃで遊んで楽しい顔、
大切な我が子を見守る顔…。
それぞれの顔から、生きた「きもち」を感じ取ることができます。
後半、深く、考えさせられるメッセージ
みんな、どんなきもちなんだろう…。そう考えているうちに、谷川俊太郎さんの文にたどり着きます。
沢山のことばで語っているわけではありません。でも、そのメッセージがじつに深く、考えさせられるのです。
子どもだけではありません。大人も、余裕のないときには忘れてしまっているようなこと。でも他の人と共に生きていくためにはとても大切なこと。
そんなメッセージがそこには紡がれています。
自分の「きもち」、誰かの「きもち」を感じてみよう。
この絵本は、沢山の文章で語っているわけではありません。それは、絵本を読んだ人が自分できもちを想像し、感じてもらうためです。
多くを語らないからこそ、生まれてくるものもあるのですね。
きもちは目に見えないもの。けれど、きもちを想像することはとっても大切なこと。
自分のきもち、誰かのきもち、両方を大切にするきもちをもってほしい。
そんな、子どもにも大人にもぴったりな、是非読んでもらいたい一冊です。
「きもち」の読み聞かせのポイント
・急いで読もうとしないでください。ページをめくるごとにじっくりと絵を見ながらきもちを汲み取り、考える時間をとりましょう。
・この場面で、この人はどんなきもちなのかな。この本を読んで、あなたはどんなきもちになったかな。想像したことを話し合ってみましょう。
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