
「おやすみなさい コッコさん」の情報

「おやすみなさい コッコさん」
作・絵:片山 健
出版社:福音館書店
発行日:1988年1月30日
おすすめ年齢:2歳から4歳向き
サイズ:H22×W21㎝
ページ数:24ページ
シリーズ:コッコさんシリーズ
「おやすみなさい コッコさん」はこんな子におすすめ

・寝かしつけの時間の読み聞かせに
・夜の闇を怖いと感じている子どもに、安心してもらうために
「おやすみなさい コッコさん」の簡単なあらすじ
夜です。みんな眠っているのに、コッコさんだけは眠っていません。
お月様は、コッコさんに言います。
「もう そらの くもも ねむったよ」
それでもコッコさんは、眠らないつもりのようですよ。
「おやすみなさい コッコさん」のレビュー
寝かしつけの時間におすすめの絵本です♪

毎日の寝かしつけの時間に、絵本を読んでいるという人、多いのではないでしょうか?
寝かしつけの時間の読み聞かせは、毎日の約束されたコミュニケーション、一日の最後まで楽しみになる、素敵な習慣です♪
どんな絵本を読んでもいいですが、内容によってはむしろ眠りから遠ざかってしまうことも…。
もちろん、寝かしつけに向いている絵本も沢山存在します!
今回ご紹介する、「おやすみなさい コッコさん」は、そんな寝かしつけにぴったりの絵本ですよ。
青を基調とした表紙、優しいタッチの絵を見るだけで、なんだか眠たくなってきそうです。
「おやすみなさい コッコさん」は静かな色使いで優しい夜を形作る

いきなりですが、私が「おやすみなさい コッコさん」で一番気に入っているところのお話です。
この絵本、色使いがとても美しいのです!!特に私の一押しが、夜空の色です!
一般的に、夜の表現には、色々なものがあります。少し怖い暗闇や、都会のきらめくような夜、どちらも夜です。
「おやすみなさい コッコさん」の夜は、どんなものかというと、それはそれは優しい夜なのです。
すっかりと眠って静まり返った町、深い青の空、ぷっかりと浮かぶ雲、そして、空に輝く黄色い月。
そこには、怖い要素なんてひとつもありません。子どもも安心できる夜。
この、深い青の空と、鮮やかに黄色い月、その対比がものすごく私の好みなのです。
少し滲んだような、水彩画も素敵だなぁ…。
この色を着飾って出かけたいと思うほど、私はこの絵が気に入っています。
絵本全体を通して、夜を表した深い青色が使用されています。絵本の見返しのページも、藍色で夜を感じることができます。
文章に利用されている色も、真っ黒ではなく、濃いめのグレー。
文字の色も、優しくやわらかな世界観を作り出しているひとつの理由です。黒より柔らかいけれど、全く読みにくくありません。
穏やかなことばで、眠りへといざなう

「おやすみなさい コッコさん」の夜は、とてもとても優しい夜。
もちろん、使われていることばは、みんな穏やかです。穏やかな語り口調、お月様の語り掛けることばも、もちろん優しい。
それに対して、コッコさんの返事が、なんとも子どもらしい口調で可愛いのです。
絵本の優しい絵とことばで、これから眠りにつくための穏やかな世界を作り出しているのです。
「おやすみなさい コッコさん」は優しい繰り返し表現で、眠気を誘う

繰り返し表現は、子どもにとってわかりやすく、絵本ではよく使われる人気の手法です。繰り返しの登場する絵本は、あまりにも面白いので、子どもたちが大喜びして読む絵本も沢山あります。
「おやすみなさい コッコさん」にも繰り返し表現が登場します。どんな繰り返しなのでしょうか。
絵本の構成は、基本的にお月様とコッコさんの会話です。
「~もねむったよ」
「コッコは ねむらないもん」
この、繰り返しで絵本は進んでいきます。
繰り返し表現は、子どもにとってわかりやすいのが人気の理由のひとつです。
もちろん、「おやすみなさい コッコさん」の繰り返しも、子どもにとってわかりやすいものです。
でも、インパクトの強いオノマトペ(擬音語等)を使っているわけではなく、徹底して穏やかな会話で絵本が成り立っています。
子どもたちが大盛り上がりするわけではないけれど、わかりやすく、絵本の内容を楽しむことができます。
穏やかに、楽しい気持ちのまま眠りに向かっていくことのできる絵本なのです。
「おやすみなさい コッコさん」は絶妙な場面転換で、ゆっくりと眠りが近づいてくる

「おやすみなさい コッコさん」は、場面転換を上手に利用した絵本です。
最初の場面は、夜空の中、静かに眠る町中を見下ろした広い場面。
ところが、ページを一枚めくると、絵は突然小さくなって小さくコッコさんが映り込みます。
こうやって広い世界感から、小さく限定的な絵に移り変わる対比を利用して、読んでいる子どもは場面が移動したことを感じるのです。
そして始まる、お月様とコッコさんの会話の繰り返し。
よく見ると、お月様が眠ったと伝えているものは、だんだんとコッコさんにとって身近な物になってきます。
この、眠っているものがだんだん自分に近づいてくる感覚。
コッコさんも読んでいる子どもも、眠りがゆっくりと近づいてくることを感じるのです。
最後は、自分のところまで眠りがやってきます。穏やかな寝顔のコッコさんは、子どもの寝顔そのもの。
「おやすみなさい コッコさん」は、子どもの穏やかな眠りを連れてきてくれる、素敵な絵本です。
是非寝かしつけの時間に読んでみてくださいね。
「おやすみなさい コッコさん」の読み聞かせのポイント

・おおきな声は必要ありません。静かに、穏やかに、ゆっくりと読み聞かせて眠りへと誘ってあげましょう。
・寝かしつけに、この絵本のように「~も眠ったよ」と、だんだん子どもに近づけていく作戦はいかがでしょうか?笑
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